私は「推しが吸血鬼を演じるのはオタク冥利」という思想の持ち主である。
吸血鬼はロマンに溢れる存在である。不老不死だし、いわゆる古典的な描き方の吸血鬼だとマントやらタキシードやらのかっちり系の服装(大好物)だし。吸血鬼が出てきがちな作品の舞台、だいたい19世紀(大好物)だし。無限の可能性しか感じられない。
むしろそういった吸血鬼役が似合いそうな俳優を好きになってしまいがちなのはあるかもしれない。ちなみに私は早川雪洲が大好きであるが、Twitter上では「早川雪洲、吸血鬼似合いそう」的なツイートがちらほら見られる。
Sessue Hayakawa is kind of vampire-like in this. #TCMParty #TheCheat
— 𝕎𝕚𝕝𝕝 𝕄𝕔𝕂𝕚𝕟𝕝𝕖𝕪 (@willmckinley) 2013年1月7日
He would have played a great vampire!
— Alice Wong 王美華 (@SFdirewolf) February 19, 2019
他にも新東宝の『女吸血鬼』*1を観た際に吸血鬼役だった天知茂をかっこいい!と思ってAmazon primeビデオでできる限り出演作を漁ったこともあった(予告篇見つけたのでリンクを貼っておきます)。吸血鬼だから好きなのか吸血鬼やってそうだから好きなのかだんだんわからなくなってきた。
ちなみに以前母親と話していたとき、「最近あなたが観てるドラマでホームズやってる俳優さん(ジェレミー・ブレット)、かっこいいよね。吸血鬼とか似合いそうで」*2という発言が飛び出したことがある。吸血鬼大好き思想は遺伝らしい。
さて、ここからが本題である。私は『ファンタスティックビースト』最新作からいろいろあってドイツ人俳優オリバー・マスッチの出演作をちょこちょこ追いかけている。
彼のインスタを遡っているとどうやら吸血鬼役でNetflix映画に出るらしい。マジで?
私の都合の良い妄想?? 大丈夫??? どういうこと?
と思っていたが、普通に撮影はやっているようなので現実らしい。というわけで配信日の8/12に合わせてNetflixに何度目かの再登録をすることになった。990円を毎月気軽に払える、サウイフモノニ ワタシハナリタイ。
そうして観ることになったのが『デイ・シフト』である。
※以下、普通にネタバレがある
あらすじをとにかくザックリ説明すると、
主人公(ジェイミー・フォックス)はプールの清掃員……と見せかけて吸血鬼ハンターで生計を立てている。今すぐに金を作らないと別居中の妻と娘が遠くに引っ越してしまうらしいので大変~! 追放された組合に出戻って、現場経験ゼロの内勤くん(デイヴ・フランコ)と一緒に吸血鬼駆除! でも実は途中で駆除した吸血鬼が激強女吸血鬼(カーラ・ソウザ)の娘で……? これから一体どうなっちゃうの~!?
といった感じ。ちなみにオリバー・マスッチは激強女吸血鬼の側近的なポジションである。
私の脳内は「吸血鬼」と聞くと『トワイライト』やらコッポラの『ドラキュラ』やらのイメージが浮かぶのだが、この映画はいわゆる吸血鬼というよりゾンビ系をイメージしたほうが近いかもしれない。ひたすら肉弾戦で殴り合う。吸血鬼たちはハリポタのロックハート先生に全員骨抜かれたんか? というレベルの身体能力や柔軟性で応戦してくる。バトルシーンはスピード感と迫力がありなかなか楽しい。吸血鬼たちもあっさりダウンするわけではないので見ごたえがある。
でも序盤~中盤のバトルシーンが良かったせいか、ラストのバトルシーンは「あっ、これで終わり?」という拍子抜け感があった。激強女吸血鬼は首が取れて死ぬし、オリバー・マスッチは両腕引きちぎられて死んだ。あまり吸血鬼側の強さが伝わってこなかったというか、どういう演出だったら私は満足したんだろう。VS激強女吸血鬼とVSオリバー・マスッチを二手に分けて交互に描くのではなくて一つの筋に集中したかったのかもしれない。
あと印象に残ったのは、アジア要素の取り入れ方である。よく「アジア系は登場するだけ登場しても台詞がない役がほとんど」*3だとか「ポリティカル・コレクトネスの重要性が説かれているわりに洋画のアジア描写は昔と変わらないステレオタイプ」だとか聞く。でも『デイ・シフト』では日系クリーニング店(組合の隠れ蓑)の看板は全部ちゃんとした日本語だし、店員もしっかり日本語を話すしで感動した。それから主人公がヴァンパイアの牙を換金する店では店主のおっちゃんが韓国アイドルのMV? を流していた(主人公が若い店員に挨拶代わりの武術バトル的なのを仕掛けていたのはよくわからないが)。ゲイシャフジヤマニンジャ! みたいな紋切り型でもなく、ごく自然に日常に馴染む要素だったのが嬉しかった。久々にアジア表象にあまりモヤモヤしないで観られた気がする。
さて、冒頭の吸血鬼の導入からだいぶあちこち行ったが、好きな俳優が演じる吸血鬼はビジュアル的に最高だったし、『デイ・シフト』は殴り合う系のアクション好きなら好きなのではないかと思う。細かい吸血鬼の種類や激強女吸血鬼のこれまでなど、いろいろ匂わせてはいるものの表に出てない設定はありそうなのでスピンオフでも出てほしい。
せっかく登録したのでまたNetflix作品の感想でも書いていこうかなあと思っている。(〆方が行方不明)